2015年9月20日日曜日

フェアトレードについての考察


 どうもこんにちは道化師です。

 さて本日は、フェアトレードについての賛成派の主張及び反対派の主張について見ていきましょう。

 フェアトレード:発展途上国において不当に安く買い叩かれている商品を公正な価格で販売することによって、発展途上国の人々及び環境に優しいとされる製品を作っていることを標榜することによって、より高い値段で消費者に買ってもらうというシステム。

 まずは、賛成派の主張から、コーヒー豆及びチョコレートの原料となるものとして使われているものは、発展途上国の人々からふとうに安く買い叩いているものである。よって、買い叩かれている値段よりも高い値段で買う努力を生産者はするべきである。

 というところが、フェアトレードの賛成派の主張ではあるが、問題はここからである。
 
 多くの大学が、この手の読解問題を出すのだが、根本にある思想が異なると全く違う結論が導き出されることになる。

 まず、公正価格とはいったい何か?これをどちらに置くか、「市場が決めた価格より高い値段のこと」とするのか「市場価格」とするのかで全く論法が変わってくる。

 まず、前者の立場に立った場合、市場はそもそも失敗しているという概念に立っている必要性がある。先進国と発展途上国の格差の現況は市場経済原理主義にあるという観点から物事を考えていくべきである。よって、我々が何らかの方法で、市場に対して介入しなければならないとする。

 一方「市場価格」こそが公正価格という人々にとっては、コーヒー豆で不当に安くなっているのは、需要と供給のバランスであるため、儲からないのであるのならば、他業種への変更をする必要性があるということになる。

 こういう2つのスタンスの違いにあるわけだが、このフェアトレード実はもっと根が深い。

 賛成派の意見の場合は、非常に書きやすいのだが、いかの5つの点がフェアトレードの重視していることだと思ってほしい。

 1,発展途上国の貧しい人々を助けよう

 2,発展途上国の農作物は不当に買い叩かれているので是正しよう。

 3,発展途上国で行われる不法就労(児童の就労をやめさせよう)

 4,発展途上国と公正な取引をしよう。

 5,発展途上国の環境を守ろう。

こういったことを全面的に押し出してくるので非常に読みやすい上に理解しやすい。

 ところが、これには批判も多い。経済学部の大学では、この5つの点に批判的な文章も出てくるので注意していきましょう。

 1の批判貧しい人々を助けるために本当にやりたいなら、寄付をすべきである。

 2の批判不当に買い叩かれているということに対して、足りないのは教育であり、情報の非対称性からくる。よって、情報と教育をきちんと与えるようにするべきであるし、現に、フェアトレードの最低価格補償そのものが買い叩かれている金額になっていることも問題である。(これは、非常に難しい話ですが、実は、フェアトレードと皆さんが思っていることと実際の現場にはだいぶさがあるようです。実際コーヒー豆の相場は市場では上がっているが、フェアトレードの最低価格保証の金額より高いということも良くあります。つまり、フェアトレード取引のほうが市場取引よりアンフェアだということです。)

 3の批判不法就労及び児童の就労をなくすという目標に対して現地で実際に行われていないかを確かめる方法がほとんどない。

 4の批判公正な取引とは市場価格で取引することである。

 5発展途上国の環境を守ろうというのが偽善的独善的な正義ではないか?

といったような批判が展開される危険性がある。皆さんもひとつの物事は必ず様々なものの見方をしてあげられるようにするといいと思います。

 道化師「私は、あまり寄付もこういう活動も好きではないです。なぜそうなのかというと、また、別の項目の時にお話させていただきますが、寄付活動そのものが起こす弊害があるので、そちらをご参照ください。慈善活動はそれほど簡単なものではないということを理解してください。いいことだと思ってしたことが結果的に悪いことになったり」「悪いことだと思ってやったことが、意外といい結果になったり」ということはよく起こります。

 「だからこそ勉強が必要なんだね。」

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